10年後の移植医療(ブタが人を救う)

異種移植未来予想図

フィクションからノンフィクションへ

12242032年 日本

クリスマスイブの朝。

昨日から降り積もった雪の影響により、車道だけでなく歩道にも多くの雪が残っている。雪道を車はゆっくりと進むため渋滞。その横を人々は厚手の服を着て仕事に向かう。

7AM

プルル プルル プルル・・・

閑散とした施設の中に一本の電話の音が鳴り響く。

宿直の異種移植コーディネーターが電話を取る。

コーディネーター:「はい、こちら異種移植センターです。」

医師A:「私、〇〇病院の医師Aと申します。肝臓がん併発の肝硬変末期の65歳男性ですが、昨日から病状が悪化しております。移植希望しておりますが、生体または脳死患者からの肝臓提供が困難で、ブタの肝臓を用いた異種移植を希望されております。そちらで肝臓の提供は可能でしょうか?」

コーディネーター:「肝臓移植ですね。現在適応サイズのブタがいるか確認してみます。患者さんの体重は何㎏でしょうか?」

外科医師A:「約60kgです。」

コーディネーター:「それではそのあたりのサイズで調べてみます。そのままお待ち下さい。」

電話口で待つ医師Aは、昨日から患者の対応に追われており、椅子に座るのは久しぶりである。深呼吸をしながら電話の返答を待つ。数十秒の時間さえ長く感じられる。

コーディネーター:「お待たせしました。50kgのブタなら現在出荷可能です。患者さんとの体重と比べると若干小さいですが、異種移植専門医のDr. Hに確認しましたが問題ないとの事です。」

外科医師A:「それでは、肝臓の提供お願いします。ただご存じの通り、雪の影響で道路が渋滞しております。この施設までの搬送にどれくらい時間がかかるか検討がつきますでしょうか?」

コーディネーター:「臓器搬送場所は〇〇病院ですね?こちらで確認しましたところ、ドローンでの搬送可能地域ですので、天候が問題なければ今から2時間以内に到着できると思います。どうされますか?」

外科医師A:「そうか、ドローンがあるのか!」

緊張した医師Aの顔がわずかにほほ笑む。

外科医師A:「患者様への異種移植の説明はすでに終わっております。異種移植が可能であるという確認ができましたので、あとは同意書を頂く事だけとなっておあります。こちらも直ぐに手術の準備に入りますので、早急に手続きをお願いします。」

コーディネーター:「承知しました。それではこちらで書類をお送りしますのでご確認の上、ご返信のほどよろしくお願いいたします。書類が届き次第、すぐに臓器摘出に入り、ブタ心臓をそちらの施設へドローンにて輸送します。何かありましたらご連絡下さい。」

外科医師A:「承知しました。至急書類を記入しお送りします。ありがとうございます。」

コーディネーター:「You’re welcome!」

これは10年後に日常的に医療現場で導入されているであろう異種移植医療の話である。

異種移植(Xenotransplantationゼノトランスプランテーション)はこれまで夢物語(フィクション)と思われていた。しかし、202217日にアメリカのメリーランド大学で成人への初のブタ心臓移植を行った事により、異種移植医療が現実(ノンフィクション)のものとなった。

“Pigs really can fly”

英語で

“When pigs fly?”

という表現があります。

直訳すると「豚が空を飛ぶとき」となり、この英語は「あり得ない事」や「不可能」を表現する時に使われるます。

とても実現しそうもない事を言った時に、

 When pigs fly.

といって返事をすることがあるみたいです。

ブタの臓器を用いた異種移植もこれまでなら、

“When pigs fly”

と揶揄(やゆ)されるかもしれませんが、

これからは、

“Pigs really can fly”となるでしょう!!

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